塾長の古口です。

「定期テストでは、けっこう点が取れているんです。でも、実力テストになると……」
そんな話をお聴きすることがあります。

「定期テストでは取れているから、うちの子は大丈夫」
そう思っていたのに、実力テストや模擬テストになると、思っていたほど点数が取れない。

実は、そんなことは珍しくありません。

以前、定期テストではいつも90点以上取っていた生徒が、中学3年生になって最初の統一テストを受けたときのことです。

返ってきた点数は70点台。

本人は、
「なんでこんな点になるんですか?」
と、ちょっと怒っていました(笑)。

でも、これはそれほど不思議なことではありません。
同じ「テスト」でも、定期テストと実力テストでは、少し性格が違うからです。

◆そもそも、テストは何のためにあるのでしょう?

私は、テストには大きく二つの目的があると考えています。

一つは、受験した本人が「今の自分の実力」を知ることです。

できるものと、できないものを分ける。
そして、できなかったものをもう一度教わる、覚え直す、繰り返し練習する。
そうやって「できないもの」を「できるもの」に変えていく。

点数を見て終わりではありません。
むしろ、テストが終わったあとからが大切です。

もう一つは、私たち教える側にとっての目的です。

「自分の授業で、子どもたちはどれだけできるようになったのか」
それを確認する機会でもあります。
もちろん、子どもたちがもともと持っている学力などによって結果は変わります。

それでも、担当している生徒たちが同じところでできていなければ、「教え方に問題はなかったか」「もっと違う声がけが必要ではなかったか」と、私たちも考えなければなりません。

テストされているのは、子どもだけではないのです。

◆定期テストと実力テストは、ちょっと違う

定期テストには、基本的に出題範囲があります。
教科書、授業のノート、学校で使ったプリント、学校から配布されたワーク。
こうしたものを繰り返し、「分かった」ではなく「スラスラできる」ところまで仕上げれば、かなりの高得点を狙うことができます。

逆に、定期テストでなかなか点数が取れない場合、まず考えてほしいのは、
「頭が悪いから」ではなく、
「まだ仕上げ方が中途半端なのではないか」
ということです。

たとえば社会が苦手な子でも、定期テストなら範囲が限られているので、そこを何度も繰り返すことで、ある程度の点数を取ることができます。

ところが、実力テストになると話が変わります。
それまでに習った内容全体から、ランダムに問題が出てきます。

一問一問、

「これは何の単元だ?」
「どんなきまりがあった?」
「この問題で注意することは何だった?」

と、自分の頭の中から必要な知識を引っ張り出さなければなりません。

何となく問題を読んで、何となく解いていると、
「何となくの点」
になります(笑)。

また、定期テストの順位が高いからといって、必ず実力テストでも同じ順位になるとは限りません。

社会なら、今回の定期テストの範囲は繰り返して覚えた。
でも、以前習った地理や歴史の一部がすっかり抜けている。

実力テストでは、その「穴」がそのまま点数に表れます。

◆実力テスト対策は「今の自分」に合った問題から

実力テスト対策で大切なのは、
「その子に合ったレベルの問題を、適切なタイミングで繰り返すこと」
です。

クエストでも、同じ問題集を使っているからといって、全員に同じことをやらせているわけではありません。

まだ基礎を固める段階なら、基本問題を繰り返す。
そこができたら、練習問題へ。
さらに力がついたら、応用問題へ。
それもクリアできるなら、一つ上のレベルの問題へ。

「焦る必要はない。自分の目標をクリアしたら、次へ行けばいい」
と、子どもたちには何度も伝えています。

周りの子が難しい問題を解いていても、自分まで同じ問題をやる必要はありません。

◆問題集は、多ければいいわけではありません

外部のテストだけを受けに来た生徒と面談をしていると、何冊もの問題集を持っている子に出会うことがあります。

ところが話を聴いてみると、どれも中途半端。
あるいは、志望校のレベルに合っていない難しい教材を使っている。

通信教育の教材でも同じです。
たとえば太田東高校を目指しているからといって、必ずしも「ハイレベルコース」が必要とは限りません。

以前、保護者の方から、
「やっぱり要らなかったんですね。でも、素人なので、ちゃんと判断できませんでした」
というお話を伺ったことがあります。

これは当然だと思うのです。

問題集には、それぞれ目的があります。
「難しいものをやった方が力がつきそうだから」と選んでしまえば、時間ばかりかかって、肝心の基本が固まらないこともあります。

また、教科や単元によって勉強の仕方も違います。
たとえば社会や、理科の植物・人体など、暗記する内容が多い単元なら、

まず覚える。
問題を解いて、何が入っていて何が入っていないのかを確認する。
見つかった「穴」を、もう一度覚え直す。

この繰り返しです。

漢字や英単語も、ただ何度も書けばいいとは限りません。

大切なのは、
「何のために、今これをやっているのか」
です。

◆一度できても、人間は忘れます

実力テスト対策では、復習のタイミングも大切です。

一度できるようになっても、人間は忘れます。

だから、完全に消えてしまう前に、もう一度復習して「上書き保存」する必要があります。
ところが、中学生にはやることがたくさんあります。

「前にやったあそこを、そろそろ復習しなくちゃ」
なんて、いちいち覚えていられません。

そのままにする。
忘れる。
実力テストに出る。
できない。

だから、「何を勉強するか」だけではなく、「いつ、もう一度やるか」まで考える必要があります。

◆「知っている」を「点数」に変える練習も必要です

知識があれば、必ずテストで点が取れるわけでもありません。
テストには「点を取るための解き方」もあります。

たとえばクエストでは、国語のテストで、

①まず全体にひと通り目を通す
②漢字・語句
③作文
④古文
⑤文章読解

という順番を伝えることがあります。

文章読解でも、記号選択、抜き出し、記述と、答えが浮かびやすいものから手をつけます。
記述問題を考えている途中で時間切れになったのなら、ある程度仕方がありません。

でも、作文を書いている途中で、
「はい、終わり!」

これはかなり痛いですよね。

高校入試では作文にも大きな配点があります。
だったら、先に取れる点を確保しておく。
これもテストを受ける技術です。

数学でも同じです。
難しい問題を見ると、挑戦したくなる子がいます。
その気持ちは、とても大切です。
でも、テスト中は「知的好奇心を満たす時間」ではありません。

私はテニスの試合にたとえて話すことがあります。
このサーブ一本で勝敗が決まる。
そんな場面で、練習でもまだ完成していない「魔球サーブ」を打ちますか?
普通は打たないでしょう(笑)。

試合中に急に上手になることはできません。

できるのは、
「それまで練習してきたことの再現率を上げること」
です。

テストも同じです。

まずは「取れるものを取り切る」。
すべての問題を解き切る必要はありません。

◆「失敗」は「けいけん」と読む

それでも、思ったような点数が取れないことはあります。
悪かったときに落ち込んで終わる必要はありません。

クエストでは、結果が悪かったときほど、じっくり話を聴きます。

どこを、どう間違えたのか。
時間配分はどうだったのか。
これから何をすれば、その問題をクリアできるのか。

必要なら、
「この教材の、このページの、この問題をやろう」
というところまで決めます。

そして、
「じゃあ、これがクリアできれば、先は明るいね」
と話します。

私は子どもたちに、
「『失敗』は『けいけん』と読むんだよ」
と、いつも伝えています。

悪い点数は、「自分はダメだ」という証明ではありません。
次に何をすればいいのかを教えてくれる材料です。

◆勉強も「いい意味でのラク」をしていい

病気になったら、お医者さんに診てもらいます。
本気でダイエットをするなら、栄養や運動について詳しい人に相談する方法もあります。
ところが不思議なことに、勉強になると「自己流」がとても多いように感じます。

もちろん、自分で考えて勉強することは大切です。

でも、

やらなくてもいいことに時間をかける。
自分のレベルに合わない問題集と格闘する。
目的も考えず、漢字や英単語を何度も書く。

これは、もったいない。

今は調べれば、勉強法はいくらでも出てきます。
でも、「何を調べればいいのか」が分からなければ、その情報にはたどり着けません。
また、誰かにとっての「いい勉強法」が、自分にも合うとは限りません。
私たちは日々、さまざまな学力、性格、目標を持った子どもたちを見ています。

その中から、
「この子なら、今は何を優先すべきか」
を考えます。

正しい方法を知る。
自分に必要な問題を知る。
やらなくてもいいことを知る。
復習するタイミングを知る。

そうすれば、必要のない試行錯誤を減らすことができます。

私は、これを「いい意味でのラク」だと思っています。
勉強をサボるための「ラク」ではありません。
必要な努力を、必要なところに使うための「ラク」です。

その結果、学習時間を短くできたなら、その時間でさらに上を目指してもいい。
部活や趣味に使ってもいい。

そして、保護者のみなさんに一つだけお願いがあります。
テストの点数を見て、
「もっと勉強しなさい」
と言う前に、その子が「何を、どう勉強しているのか」を、一度見てあげてください。

ちゃんと勉強している。
本人なりに頑張っている。
それなのに結果につながらない。

そんなときは、努力が足りないのではなく、努力の「使い方」を少し変えるだけでいいのかもしれません。

やり方が変わる。
できることが増える。
点数が変わる。

そして、
「自分にもできる」
と思えるようになる。

そこから、また次の一歩が始まります。

テストを、「点数をつけられて終わるもの」ではなく、
「次に何をすればいいのかを教えてくれるもの」にする。
その「次にやること」を一緒に見つけ、できるようになるまで支えていく。

それも、私たちの大切な役割だと考えています。

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